きれいの盾

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 同意を求めるように、マスクをした麻衣さんのぱっちりとした瞳がわたしを見る。麻衣さんがマスクをするのは、爪を削っているときに出るダストを吸い込まないためだった。お会計のときに見せるマスクのない肌は、透き通ったようなきれいな肌をしている。  わたしはおもわず顎に手をやって、マスクでニキビを隠せていることを確認した。 「こんな顔で、自信を持つなんて無理です」  メイクを覚えたのは就活でやむなくだった。友達の勧めるプチプラのコスメは肌に合わず、わたしにきれいになる資格なんてないんだと、身の程を知った。  諦めてしまえば、あとは逃げるだけ。わたしはマスクをして『肌が弱い』という鎧で、身を守った。 「どうしてこんな顔に生まれたんだろう……」  ひさしぶりに吐き出した本音は、自分でも耳をふさぎたくなるほど醜い声だった。 「わたしも麻衣さんみたいにきれいな人だったら、きっともっと堂々とできると思うんですけど」  しょせん今からわたしが頑張ったところでたいした効果はない。不細工はいつまで経っても不細工なままだ。
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