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以前までの星神祭では、セイラの祖父と父が【迎え人】と【送り人】、二つの役を交代交代で受け持っていた。だが三年前、祖父が急死し、星守の役を担えるのは父一人になってしまった。【迎え人】と【送り人】は時間と体力の問題で、一人一役しか受け持つことができない。そして、代々星守の役を受け継いできたのは男だったため、星守の仕事は男がすることが暗黙の了解のようになっていた。そのため父は村の男たちに星守の役を担ってくれないかと頼んで回った。だが、引き受けてくれる者はおらず、結局娘のセイラに役を担わせるしかなくなったのだ。
星守は素手で星を包み抱えて、夜空に放す。それが長年星を村に縛り付けている分の、せめてもの償いだった。受け継がれてきたその仕来りを途絶えさせることはできないが、娘であるセイラの手に傷を負わせてしまうことに、父は居た堪れない気持ちを抱いていた。
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