星の送り人

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 父の声が森閑のなかで穏やかに響いた。そして、父はいったん薪を地面に置いて、自身の手のひらを見つめた。分厚く大きな手のひらの全体は、表皮が裂けて赤黒い火傷のあとが残っていた。それは皮肉にも、星の形のように見える。しばらく父はじっと手のひらを見つめたあと、セイラにぽつりとつぶやいた。 「……すまないな」  その意味に気づいていながらも、セイラは明るい声で答える。 「なにが?」 「お前に、こんな役回りをさせることになって……」  しんと、森がもとの静寂を取り戻す。父はセイラの傍に寄ってきて、彼女の手を取った。細く長い指とすべらかな手のひら。十五歳の少女らしい、傷一つない美しい手だった。父はいたたまれない表情で、愛おしそうにその手を撫でる。セイラは微笑んで父の手を両手でぎゅっと握った。 「そんな顔しないでよ。わたしは全然気にしてないよ。むしろ村の役に立てて嬉しい」  セイラがにこりと笑ってみせると、父は少し躊躇ったあと、力なく笑った。頼もしいな、とこぼす。父の手をすり抜け、再びセイラは身を翻す。 「ちょっとだけ神殿にあの子を見に行ってくる」 「今日はもう遅いから、明日にしなさい」 「ちょっとだけだから」  そう言うと、父の制止を振り切ってセイラは村の中心部に駆けていった。
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