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六万年前、村は日照りで麦も米も満足に育たず、収穫ができない状態にあった。だがある夜更け、どこからともなく星が村の広場に墜落した。その星は地に落ちてもなお、まだ燦然と輝き続けていて、村人はその光の美しさに心奪われた。そして、その星を大切に保管することにした。すると、翌日から雨が降り出し、日照りが解消されて不作を乗り越えることができた。それ以来、村人はこの天のご加護は星のおかげなのだと信じ、村の平安の象徴として神殿を作り、星を祀るようになった。
だが、そうして五年が経った頃、徐々に星の光が弱くなり始めた。星はもう、寿命が近かったのだ。日に日に弱まっていく星を不憫に思った村人は、星を空に帰すことにした。だが、普通に星を空に放ったのではその様子を見た他の村の者たちがこぞって星を捕まえにくるかもしれない。それでは星たちに迷惑がかかるのは明白だった。そこで思いついたのは、空いっぱいに星が降る夜──流星群の日に星を放してやることだった。夜空の星が一斉に動き回るその日なら目立つことはないし、かわりにこの村を守ってくれる別の星を得ることができる。
当日、満天の星々が夜空を流動する中、老いた星はゆるやかに空へと昇っていった。そうして入れ替わりに新たな星を手にして、村人はまた、神殿にその星を祀った。星を迎え、寿命が来たら空に帰すという行為を繰り返している間は、村は日照りや水害に襲われることはなくなり、人々は平穏な生活を営むことができた。
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