星の送り人

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「セイラ」  セイラは暖簾をくぐり、外に顔を出す。入り口の手前に父が立っていた。 「もういいだろう。帰るぞ」  セイラが父の背後の空を見上げると、先程よりも星の数が少なくなっていることに気づいた。どうやら真夜中は超えてしまったようだった。はぁい、と気だるげに答えると、セイラはもう一度だけ屋内に向き直って、星にまた明日ね、と告げた。神殿から出てくると、父がしかめっ面でセイラを凝視していた。だが、何も言わずに帰途に先立って歩き出す。セイラが不思議に思いつつもその後について歩き出してしばらくしてから、父はやっと低い声でつぶやいた。 「星を生き物のように扱うのはもうやめなさい」
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