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「どうして?」
先行く父の背中を追いながら、セイラは問い掛けた。父は振り向かないまま、言葉を重ねる。
「手離しがたくなるだろう。星は繊細なんだ。躊躇でもしてこちらの補助が鈍れば、上手く飛び立てなくなる」
星守が代替えをする際、まずは【送り人】として星を包み抱える感覚を掴む経験を積んでから、【迎え人】として星を受ける役を担うことになっている。セイラは明日、【送り人】として星を送る役を担うのだ。
「でも、星は生きてるでしょ?」
その言葉に父は立ち止まって、セイラを振り返った。父を見るセイラの眼は、星灯りの純粋な光に染まって、きらきらと輝いていた。まるで幼子のように。
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