占い信じる新井さん。

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「まさか開幕からこんなことになるなんて思わなくてね。試合前にはベンチに盛り塩したり、ベンチ裏にデカイお守りがぶら下がっていたりしてさ。………もう藁にもすがる思いだよ」 「そう。………萩山監督さん大丈夫かな?」 「いやー、なかなか参った顔してるよ。あと3回負けたらいよいよってくらいに………」 「それはなんとかしなくちゃいけないね」 「そうそう。でも改めて開幕からの試合を振り返ってみたんだけど、どうもビクトリーズには運がないような気がしてね。ほら、昨日とかさ………」 「最終回? 岸田くんが打たれちゃった場面?」 「そう。ことごとく打ち取った当たりが誰もいないところに落ちちゃったりしてさ。キッシーのピッチングは全然悪くなかったのに。あれはもはや呪われてるとさえ思ったね。 だから今のビクトリーズに必要なのは、練習とか意識を変えることとかじゃなくて、お祓いなんじゃないかと悟ったよ」 「あ、そういえば!」 オイスターソースで炒めたブロッコリーを頬張ったみのりんが何かを思い出した様子。俺に向かってモグモグする口を当ててしばらく隠すようにしていた。 「宇都宮駅の裏手に、最近よく当たるって評判の占い師がいるんだって」 「占い師?」 「そう。私と同じ製造ラインにいるおばさんが言ってたんだけど、行方知れずだった夫の居場所を特定したり、学園のマドンナとの恋を成就させたり凄いんだって! 試しに占ってもらうものありなんじゃないかな?」 「占いねえ。そんなもの当たれば苦労しないっての」
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