占い信じる新井さん。

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「長々と失礼致しました。あなた様が北関東ビクトリーズの職員さんと聞いてつい……」 「いえ、気にしないで下さい。………もうずいぶんとご存知のようですが、そのビクトリーズが今シーズンは開幕から絶不調でして、何か運気が上がる方法などがあれば教えて頂きたいのですが……」 「分かりました。早速占いましょう。準備をしますので、少々お待ちを」 そう言った占い師さんは、横のテーブルから何かを俺の目の前へと移動させた。 何やら管のついたカジノのルーレットのようなものと、丸い形をしたカードの束。 それを用意すると、彼女はまた俺の目の前に座った。 「私がよくやっているのは、ロワンドマランという、東南アジアに古くから伝わるものでして、これはその人の勝負運を計るのに最適なんですよ。さっそく占っていきましょう」 占い師さんはまず、丸い形をしたカードに手を伸ばし、それをテーブルの上に並べた。全部で30枚か40枚かそこら。そこから俺に2枚のカード選ぶように指示した。 俺はあまり深く考えずに、真ん中付近にあったカードと右端にあったカードを選んだ。 その2枚を占い師さんがひっくり返すと、犬のようなオオカミのような生き物が今にも飛びかかってきそうな雰囲気で唸っている絵と、草原の丘のような場所で幾人もの甲冑を着た騎士が生き絶えているような怖い絵が出てきた。
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