優しい空気と花火。

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 公園でお尻をふりふり揺らしながら歩くジロウ。そのリードを持つ私。慧ちゃんはジロウの横を歩いたり、私の横を歩いたりする。 すごく平和だなぁと思ったので、私はつい世間話のような軽いノリで言ってしまった。 「私、慧ちゃんのこと好きみたい」  ちょうどジロウの横を歩いていた慧ちゃんが振り返る。ジロウも振り返って立ち止まった。 ジロウはへらへらと舌を出して、興味深そうに私たち二人を見ていた。 慧ちゃんは不思議そうな表情。 「どういうこと?」 「えっと、あなたのことが好きっていうこと。たぶん恋愛の意味で」  慧ちゃんは口をぽかんと開けて、静かに驚いていた。ジロウは地面にごろんと横になって、お腹を見せてくる。 「初めて人からそういうこと言われた」  慧ちゃんの声はとても冷静だった。 でも、感情を出すのが下手なあまりそうなっているだけで、本当はものすごく驚いているのでは、と私は感じた。 「ちょっと、考えさせてね」  真剣な表情か、逆に何も考えていないか、とにかく私にはちょっと分かりにくい表情で慧ちゃんは答えた。 それから、ジロウのお腹を優しく撫でていた。
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