優しい空気と花火。

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 告白の返事を、私はただおとなしく待っているのは嫌だった。 私は何が何でも慧ちゃんじゃないと駄目だと思い始めていた。それに女同士だ。 慧ちゃんはたぶん女同士というものを想像したことがないと思う。 きちんと自分をアピールしなくては。 自分を恋人にしたらこんな良いことがありますよ、と。  そういうわけで、夏休みを家で平和にごろごろ過ごしているだろう慧ちゃんをお昼ご飯に誘ってみた。私の家は、親が都合よく出かけているし、ゆっくり話すにはもってこいだと思った。  慧ちゃんは「眠い」「若干、気まずい」など文句を垂れたが、素直にわたしの家に来てくれた。 私は簡単だし、という理由でそうめんを作ろうと思っていた。 麺つゆとそうめんだけあればいいと私は考えていたけど、慧ちゃんが横で「卵とかキュウリとか添える?」と聞いてきたので驚いた。 仲を深める作戦だったので、私は慧ちゃんに合わせて「うん」と答えた。 手際良く卵を焼く慧ちゃんの横で私はハムとキュウリを細く切った。 なんか負けてるな、と思って少し悔しかった。
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