優しい空気と花火。

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暗い顔をしていたのは一瞬のことで、顔を上げた慧ちゃんは普段どおりの感情の読めない表情をしていた。 「いろいろ前の学校のこととか思い出してたの。関心がないことになんで?って聞かれて、いつも何も言えなくなってたこと、とか。恋愛に関心がないの、なんで?とか……」  慧ちゃんは、私ではない誰かにたいして感情をこめて話しているようだった。 過去の嫌な思い出なんだろう。 それと同時に、私はなんとなく慧ちゃんの言いたいことが分かるような気がした。 「確かに、慧ちゃんには恋って概念はないよね……」  私は公園で急に告白したことを反省し始めていた。 「それは、弓花もでしょ」 「え」  私は驚いて慧ちゃんの顔をまじまじと見つめた。慧ちゃんも私の顔をしっかりと見つめている。 「弓花は、本当は恋愛が何なのか分かっていない、と思う。でも、どうしようもないから、楽しいって思いたいから、経験だけたくさん積んでるんじゃない?」 「それは……」  どきりとした。今まで誰かにそう言われたかったんじゃないか、と気づいたから。 「弓花は自分の恋の話をよく私にしてくれたけど、いつも私に恋愛感情を尋ねるみたいに話してた」
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