ピュアラブ

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 昼休みのチャイムが鳴った。ざわざわと騒がしくなった社内で私はメールを一件書き上げてから、デスクでランチを広げた。今日のランチは駅ビルにあるベーカリーのパストラミサンド。このベーカリーのパストラミはピリリと胡椒がきいていて私の好きな味なのだ。お酒のアテにもぴったりだし、これだけで売って貰えないものかと常々思っている。 「あ、またそこのパンなんですね」  デスクの上に乗せられた紙袋を見た犬飼くんが声を掛けてきた。 「そう。私ここのパンが好きなの。通勤途中に買えるっていうのも大きいけどね」 「俺は駅使わないからな。こればっかりです」  そう言って笑う犬飼くんの手にはコンビニの袋があった。事務所の一階に入っているコンビニだろう。今ではその袋も有料だ。 「食べに行けば良いじゃない。原田くんも出掛けたみたいだし」  セールスは外勤がメインだから移動ついでに外で食べてくることが多い。仮に内勤をしている日であっても連れだって近所のラーメン屋に繰り出したりしている。  けれど犬飼くんは「そういうのって」と返してきた。 「気を遣うじゃないですか。俺なんてこのチームはじゃ一番下だし、グチ聞かされたりするのも面倒臭いし」  彼ははす向かいの席に腰掛け、袋からお弁当を取り出した。そのままペットボトルのキャップを開け、プシュと小気味よい音を立てる。 「それは分かるわね。一匹狼を気取る訳じゃないけど、シラフでグチとか耐えられないわ。私が居たら私のグチは言えないでしょうし」  そう言って自嘲気味に笑う。
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