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シャンパンの泡がフルートグラスの底からゆっくりと上昇していく。ガラスの縁でパチパチと弾ける発泡音さえ、新しい門出を祝う祝砲のように聞こえてとても愉快な気分だ。
白と緑の色彩があふれるガーデン内にやわらかな風が通り抜けると、純白のドレスとヴェールがふわりと広がるのが見えた。テーブルにグラスを置くと、今日の主役の2人がゆっくりとこちらへ近付いてくる。
上田 愛梨は同じ会社で仲良しの同期、池田 玲子の華々しく美しい花嫁姿に感嘆した。
「おめでとう、玲子。すっごく綺麗…!」
「愛梨、ありがとう」
愛梨が玲子の花嫁姿に見惚れながら言祝ぐと、玲子が嬉しそうにはにかんだ。玲子の隣で白いタキシードを身に纏った哲治も、同じく嬉しそうに表情を緩める。
玲子の夫になった池田哲治に会ったのは今日が初めてだが、2人が目線を合わせて嬉しそうに笑い合う姿や、ドレスで歩きにくい玲子を優しくエスコートする哲治の姿を見ると、本当にお似合いだなぁ、と見ているこちらまでが嬉しくなってしまうほど。
本当に素敵な結婚式だ。
愛梨が幸せそうな2人を眺めていると、いつもより色合いがはっきりしたリップを美しく綻ばせて、玲子がそっと耳打ちをしてきた。
「次は愛梨の番だね」
「えぇっ? 私、全然そんな予定ないよ?」
「ふふふ、どうかなぁ」
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