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初夏は過ぎ、皆汗をかきながら講義室に入っていく季節になった。私は香奈と志保と雑談をしながら授業が始まるのを待っていた。
「というか、ホント最近、キレイになったよね? 真子って」
「そうかな?」
香奈に褒められ、私は照れながら頬に触る。気になっていたザラつきもすっかりなくなっていた。
「そういえば真子ちゃんにまだお礼してなかったね。今度飯食いにいかない?」
男子の1人が提案する。え、行っていいのかな。慣れない私は返答に迷っていると、突然誰かに肩を組まれた。
「悪いけど、大内はまだ修行中だから」
隣にいたのは加々美くんだった。肩を組まれているだけなのに、鼓動が早くなる。颯爽と登場した加々美くんに誘った男子は口をポカンと開ける。
「みんなで行くってことだから、それはいいんじゃないの?」
「そうか。それならまぁいいか」
志保が付け加えると、彼は眉間に皺を寄せながら頷く。なんでそんな渋い顔しているの。
「というか修行中って何? それはいつ終わるのよ」
「うーん、一生無理だな!」
思わず唸るような声を上げてしまった。その様子を見て、香奈と志保はにやつきながら、ひそひそと話す。
「何? なんか変なこと言った?」
気になって目線を送ったが、2人は最後まで教えてくれなかった。
おわり
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