辛口美容男子のすすめ

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 初夏は過ぎ、皆汗をかきながら講義室に入っていく季節になった。私は香奈と志保と雑談をしながら授業が始まるのを待っていた。 「というか、ホント最近、キレイになったよね? 真子って」 「そうかな?」  香奈に褒められ、私は照れながら頬に触る。気になっていたザラつきもすっかりなくなっていた。 「そういえば真子ちゃんにまだお礼してなかったね。今度飯食いにいかない?」  男子の1人が提案する。え、行っていいのかな。慣れない私は返答に迷っていると、突然誰かに肩を組まれた。 「悪いけど、大内はまだ修行中だから」  隣にいたのは加々美くんだった。肩を組まれているだけなのに、鼓動が早くなる。颯爽と登場した加々美くんに誘った男子は口をポカンと開ける。 「みんなで行くってことだから、それはいいんじゃないの?」 「そうか。それならまぁいいか」  志保が付け加えると、彼は眉間に皺を寄せながら頷く。なんでそんな渋い顔しているの。 「というか修行中って何? それはいつ終わるのよ」 「うーん、一生無理だな!」  思わず唸るような声を上げてしまった。その様子を見て、香奈と志保はにやつきながら、ひそひそと話す。 「何? なんか変なこと言った?」  気になって目線を送ったが、2人は最後まで教えてくれなかった。    おわり
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加