辛口美容男子のすすめ

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 初夏のある日、私は急いで講義室へ向かっていた。今日使う資料やらレポートやらを夜中まで作っていた結果、寝坊したのだ。なんとか廊下を走りきり、教室へ入っていく。そこにはすでに友人である香奈や志保を含めたグループのメンバーが集まっていた。 「プレゼンの資料できたよ」  私はノートパソコンを開き、印刷した資料をメンバーに手渡す。 「おぉ、さすが。いつもありがとうね、ホント助かるよ」  香奈が褒めてくれる一方、志保は眉をひそめた。 「というか真子、大丈夫? 顔色が悪いというか疲れてそうというか」 「いや、大丈夫だよ。こんなの朝飯前だって」  心配する志保に対し、胸を張ってみせる。確かに大丈夫ではない。でも、一生懸命やっていればグループ内の男子が一人くらい振り向いてくれるはず。私は視線を向けたが、男子たちは資料ばかりを見て私には簡単な礼だけだった。  この程度ではダメということか。もっと色々した方がいいのかな。席に着き、ふとスマートフォンに映った自分を見る。全体的にくすんでいて化粧乗りが悪い。どうして、こう上手くいかないんだろう。私は教授の話を聞きながら、ザラついた頬に手を添えた。
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