ワンシーン

5/11
前へ
/11ページ
次へ
 入学して一週間ほど経った放課後。俺は部室棟に足を運んでいた。  その理由は、入学して同じクラスになった男子生徒からの誘いで部活勧誘を放課後にやっているから、それに一緒に行かないかという約束があったからであった。その日、日直であった俺は少し遅れて行くとその男子生徒に告げていて、日直の仕事を終えた俺は、部室等へと一人で足を踏み入れていた。 「もしかして、新入生?」  部室棟の廊下を歩いていた俺の後ろから女性の声がした。自分に対して話しかけられたと思い、振り向くとそこには一人の女子生徒が立っていた。 「えっと、そうですが……」 「てことは、部活勧誘に来たのね?」 「えぇ、まぁ……」 「よかった。もしも今年誰も来なかったらどうしようかと思ってたの」  俺のことを無視して自分の中で話を進めて行く女子生徒に俺は困惑していた。 「す、すみませんけど。俺、これから行く場所があって──」 「まぁまぁ。そんなこと言わず、すぐ終わるから〜」 「えっ? ちょっと!?」  俺はなすすべなく、その女子生徒に手を握られて、写真部と書かれた札のかかっている部室へと連れ込まれた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加