24人が本棚に入れています
本棚に追加
Hello, Jupiter
かつて、僕は父親だった。
そうでなくなったのは、もう3年前になる。僕の目の前で、真彩は死んだ。うっかり僕が手を離した隙に、車道に飛び出したのだ。たった3年間の命だった。
娘を轢いたドライバーには、何も落ち度はなかった。制限速度内で走っていたし、事故が起きたのは横断歩道でもなんでもない場所だった。彼を恨むことはできなかった。
事故がきっかけで、妻とも別れた。彼女が僕を詰ったことは一度もない。直接は。だけど僕は彼女が心の中で僕を責めていることを知っていた。それに耐えられなくなったのだ。
それから1年間ほど、僕は何もできなかった。抜け殻、という形容が相応しすぎるくらいだった。毎日娘の写真が飾られた仏壇の前で、ただ茫然と座っていた。
最初のコメントを投稿しよう!