Hello, Jupiter

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 これでよし。まずはここからだ。別に英語で Hello とか言わなくても、僕が普段慣れ親しんでいる日本語の挨拶でいいだろう。あの夢が僕の妄想で無ければ、「彼」は僕の存在を認識しているはずだから、僕から信号が送られてきたとすれば、それに対して何らかのアクションを返すはず。それがいつ返ってくるかは分からない。だが、受信はアキに任せて人工冬眠していれば、少なくともあと20年くらいはここで返事を待つことは出来るはずだ。 ---  人工冬眠するまでも無かった。返答は地球時間で1日も経たずに送られてきたのだ。例によって時間軸方向に100倍に引き伸ばされてはいたが、それは間違いなく「こんにちは」だった。それも、僕の声とは似ても似つかない、歪んだ声だったが。  こうして「彼」とのファーストコンタクトは成功した。後は全てアキがやってくれる。アキは粘り強く「彼」と会話を続け、いつかはコミュニケーションを確立するだろう。探査セクションを切り離して木星の周回軌道に残し、僕は「はやて」を地球に向けて出発させた。
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