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二次会に向かう道中、同期の慎也が絡んできた。
「はーやと!お前、さっきから誰か探してんの?」
「え?何で?」
「何かキョロキョロしてるから」
キョロキョロしてたのか、オレ……。
「いや?可愛い子いないかなーと思って?」
「いいなー。いたらナンパしてきてくれよ!」
ほろ酔いの慎也は、ご機嫌にそう言うと、また違う同期に絡みに行った。
探してたつもりはなかった。
んだけど……
佐々木さんは、帰ったのか。
まぁ、そりゃそうか。
全員強制参加の飲み会以外で、あの人が進んで飲みの場に参加するところなんて見たことない。
佐々木優花は、隼人の1つ下の後輩で、お世辞にも美人と言える部類ではなかった。
隼人から見ても、特に目立たない地味な後輩、という程度の印象しかなかった。
でも……
さっきの飲み会で、トイレから帰ってきたら自分の席がなくなっていて、仕方なく空いている佐々木さんの横に座った。
今までそんな間近で彼女を見ることがなかったから、意識していなかったけど
佐々木さんの肌、めちゃくちゃキレイだったな。
そこからどうも優花のことが気になって、隼人は気付けば優花を目で追っていた。
そして、気付いたことがある。
優花がとんでもなく気配り上手、ということだ。
何て言うか、押しつけがましい気配りではなく、誰も気付かないようなことに気付いて、誰にも気付かれないようにそっと気配りをしている。
例えば、皆が座敷に上がって誰もいなくなってから靴を揃えたり、酔っぱらってるいる人の側に、いつの間にかお水を置いてあげていたり。
それらを佐々木さんがやったとは、誰も気付いていない。
でも、隼人だけは気付いてしまった。
肌のキレイな子は、細かいところまで配慮が行き届くのかもしれない。
それが肌にも出ているんじゃないかな。
そういえば、自分が今まで付き合ってきた子も、皆、肌はキレイだったな、と隼人は思い出していた。
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