9人が本棚に入れています
本棚に追加
「何か、箕島さんて『女の子はこう言ってあげれば喜ぶよね』みたいなとこ、たまにありますよね」
優花が、嫌味でも何でもなく「アメって甘いですよね」くらい当たり前のテンションで、そう言った。
「え……」
図星だった。
隼人の困惑する顔を見て、優花は「しまった」という顔をして、言葉を続けた。
「あの、すいません。だからそれが嫌だってわけではなくて……。
そうやって相手の気持ちくみ取れるのがすごいなって。
私、本当に空気読めなくて、よく相手を怒らせちゃうから……」
意外だった。
が、何となく分かる気もする。
本当の佐々木さんは、こういう感じなのだろう。
思ったことを臆せず、そのまま言ってしまう。
それによって相手を怒らせてしまった今までの経験から、人と関わることに消極的になっているのかもしれない。
「佐々木さん、大丈夫だよ。オレ、怒ってるわけじゃないから。むしろ、逆。図星過ぎて、自分が恥ずかしくなっただけだから」
正直、隼人は女の子を見下している部分があった。
女の子は自分にだいたい好意をもってくれるし、それ故、何を考えているのか手に取るように分かる。
仕事だって、結局は自分の方ができるし、女性に対して尊敬の念を持つこともなかった。
そんな隼人の価値観が、優花と関わるようになって、少し変化しつつあった。
最初のコメントを投稿しよう!