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優花side
「それ、貸して。どこに運ぶの?」
「え……」
優花は、驚きのあまり、歩いていた足を止めてしまった。
その隙に、ファイルがぎゅうぎゅうに詰められた段ボールを、隼人に奪われてしまった。
「あ、いや!大丈夫です、箕島さん。私が頼まれたので」
「だとしたら頼んだヤツがナンセンスだよね~。
女の子にこんな重いもの持たせるなんて」
特にカッコつけようとしたわけでもなく『女の子には重いものを持たせない』それがはるか昔から決められた至極当然のことであるかのように、隼人はさらっと言ってのけた。
「ありがとうございます……」
自分が「女の子」として扱ってもらえることが、私の人生で起きるなんて。
お姫様みたいな可愛い子ならともかく、敵役にすらなれないであろう、完全にモブキャラの私がだよ?
優花は、嬉しさとくすぐったさで、ニヤけそうになる自分の顔を抑えるのに必死だった。
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