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やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
どんな人でもおそらく脳が「やばい」侵された瞬間があるのではないだろうか。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
例えば、そう。テスト前の一夜漬け計画を寝落ちで破綻させた時とか。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
ほかには、そう。赤点を2連チャンで取って夏休み前半が崩壊した時とか。
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい―――
最悪なのは、好きな人が出来たタイミングで……
「ハロー!ボンジュール!ニーハオ!!」
クソでかいニキビが鼻の頭に出来てしまった時。
「なになにー!?もしかしてあたちの話題!??うわぁー!教えて教えてーーー!!!」
しかもなぜか喋ってるし!なんならちょっとかわいいし!!
「う、うんうん!違う違う。じ、実は」
「あぁ!わかった!!わかなちゃんの好きピの山口君のことだぁ!!」
そして勘も鋭い。
「あたちが思うにぃ!山口先輩清楚系が好きだと思うんだよね!わかなちゃんもその辺心がければワンチャンあ・る・か・も・ね?」
時たまガチでうぜぇ。
「やかましいわ。ニキビのくせに、そう思うんならとっとと消えてくれない?あんたのせいで一生清楚になれる気がしないんだけど」
「えぇー!?あたちのせい??あたちだってこんなところに生まれたくて生まれて来てるわけじゃないんだよぉー!わかなちゃんの健康管理が生んだあたちに消えてって、それオカチクない?理不尽にはぷんぷん!」
こ、コイツ…
「そもそもあたちだって!どうせなら俳優の窪田正幸君みたいなイケメンの顔に生まれたかったし!あっ、でも。あんなお顔にあたちが出来たらかわいちょう……」
なんなんだコイツは。私の鼻で勝手に盛り上がって勝手にシュンッてなって、ざけんなよ。
「あっそ。ならどうすればあんたはいなくなるの?」
「えっ?あたちに消えてほちぃの……どうして?」
「あったりまえじゃん!ニキビに消えてほしくないJKがいるとでも?」
「えっ!わかなちゃんJKだったの!?チラナかったぁ!!だって、いっーーーちゅっも!夜中までケータイ見てて、パソコンで動画見てて、てっきりニートかと思ってたぁ!!プークスクスクスッ」
その瞬間。私の頭の何かが引きちぎれたような気がした。あー、 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい――――――プチンッ
戦争開始。
「上等ジャアァ!!!!1週間。1週間であんたを完全に綺麗さっぱり!金輪際!!消滅させてやるゥ!!!」
「へー!おもちろいじゃない。やってみなさいよ!!このあたちを滅ぼち手見なさい!!!」
鼻の頭で威風堂々と座するニキビはさながら「世界の半分をくれてやろう」で有名な魔王のようだった。そうすると私は魔王を打ち倒す勇者であろうか。ヨッシャアァ!!!燃えてきたァ!!!!
その日から私とニキビの終末戦争が始まった。
毎日洗顔、保湿、薬を潤沢に使用の伝説の剣攻撃!を仕掛け、早寝早起き、お菓子食べない、野菜食べるの伝説の盾防御!しかしそこは魔王ニキビビン。今まで蓄えた大量の油と汚れでガードを続ける。1日目、2日目、3日目。私の怒涛の攻撃にも余裕の笑みで耐えて見せた。
「ふふん、わかなちゃんよくやったわね、ほめてあれりゅ。でもね、わかなちゃん。3日くらいなら誰でもできりゅのよ!」
魔王の言う通りだった。私のモチベーションは3日目を境にみるみる内に落ちていった。はぁ、お菓子食べたい。夜更かしして動画見たい。なんで私だけこんな目に……
4日目の夜、オールした。魔王の高笑い。私の大笑い。ポテチとチョコの感動の再開。この戦争は私の無条件降伏を持って終了した。やっぱ、ラヴアンドピース。ガンディーマジリスペクト。
そんなこんなでオールで学校に行った。クソ眠たい。だけど幸せ!
昼休憩時、自販機にミルクティを買いに行った。はぁっ!4日振りのミルクティ!会いたかったぜい!!
「てかさぁー、結奈とエリちゃんドー思う?俺的にはクラストップなんだけど」
「あーありあり。でも俺的には若菜だわあ。あのおっぱいは捨てがたい」
「たしかし!あのおっぱいは圧巻だわ。あれ見て夜中スペシャルタイム決めてるからな!」
「きっしょ」
あっ!この声山口君だ!てか敦キモい死ね。
「はっ?山口だってやってるだろ?若菜バズーカで夜のシャドーボクシング」
えっ?マジで?山口が私に……?
「なわけ。あいつ肌汚ねぇじゃん。無理無理、見ただけで吐き気するわ。マジで若菜汚物じゃん顔面ライカごみ収集車」
「ぷっ!ひっでぇぇぇえ!!!でもまぁたしかに。あの鼻ニキビはなぁ。そこだけは残念だよなぁ」
「肌汚い女とか生きてる価値なくね?yeahまさに鼻がない像、くらい終わってるあのおっぱい女、華がないぞう!」
「やっべ!ラッパーじゃん!!MC山口にプッチャヘンザァー!!!」
ギャーッハッハッハッハッハッハ!!!
下種な笑い声が響く。その声が鼓膜に入るたびに私はつめを剥がされたような痛みが走った。
あーやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。
私の中の何かが消え失せた。
その瞬間私は変わった。
毎日洗顔、保湿、薬を潤沢早寝早起き、お菓子食べない、野菜を食べる。以前は3日しか持たなかったこれらを1週間続けた。鼻の頭に鎮座していたニキビは消えてなくなって元の綺麗で凛々しい鼻が帰って来た。
「あれ、若菜。最近キレイになった?」
「鼻のニキビがなくなったじゃん」
友達からもそう言われるように私は鼻のニキビがなくなったおかげでキレイになった。肌も初々しく水水しい柔肌になった自覚はある。そして私は獲物がかかるのを待った。
翌日。私は山口君に呼び出された。
「あのさあ、俺前から若菜のことけっこういいなぁて思っててさぁ。よかったら付き合ってみね?」
パチンッ!
私の手は第三宇宙速度で山口君を叩いていた。
壁に叩きつけられた山口君は何が起きたのか分かっていないようだった。
「うわ、若菜えっぐ!世界取れるべ!」
親友の結奈が大笑い。
「華がぁないぞう、てめぇの下種さに、敵わないぞう」
「ハハハッ、ワカナ、アナタアングラ頂点ネ。ヤマグチパンチラ頂点ネ」
「いや、エリザべス。意味わからないから」
「とりまアンタラケダモノネ。ヒトリウチでムスコカワイガルネ。餞別ネ」
そう言うとエリザベスは第6宇宙速度で山口君の息子を蹴り上げる。上空へと蹴りだされた彼は屋上まで飛ばされていた。イギリスの血やべぇ
「じゃあ私も…」
そう言うと真奈美は敦と翔太の二人を第九宇宙速度でラリアットした。失礼な二人は学校の窓ガラスを割りながら、飛んでいき、校舎の向かい側まで飛び出した。流石お兄ちゃんが元埼玉暴走族だけあるなぁ。
「ヨシッ復讐完了ネ。ン、ンッウン!よし!若菜のニキビ消滅記念にドーナッツ食べ行こ!もちろん若菜の奢りで」
「えぇー私の奢りぃ?マジかぁ……………いいよぉ!!!」
「若菜マジ神。じゃあ行こうか!」
「てか、エリザベスなんでみんなの前だとTHE外国人みたいなしゃべり方すんのー?」
「いやぁ、なんかあの喋り方だとなに言っても許されるから便利なんだよ」
「あっ、そうなんだ~」
「あと、コウイウガイコクジントーンカライキナリ。こんな風に普通にしゃべり始めたらみんな絶対驚くから。その反応みるのが超楽しいんだよねー!」
「うっわぁ、性格悪ゥ!」
その後私はドーナッツを爆食いしたせいでまた鼻の頭にニキビができた。しかし、そのニキビは一切喋ることはなかった。その喋らないニキビは2日程度で消えていった。今思うと、あの喋るニキビは私の弱い心が生み出した言い訳だったんだと思う。つまり私は妄想の中でニキビとずっと喋ったり戦ったりしていたわけだ。えっ?普通に痛い奴やん爆笑。マジでやばいね
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