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目を醒ました男が見たものは、見知らぬ天井――
「だから、[ホトケサマ]にお祈りしたら、[振ってきた]んだから!」
「もう、しょうがない子です……」
耳に飛び込んできた女の声に目を向ける。
「親子、いや、姉妹か……に、しては……」
ぼんやりした目が写したものは、山岳民族特有の衣装に身を包んだ、二人の人物。
一人は年の頃17才くらいだろうか、頭身が高く、色白の見目麗しい[少女]であった。
西方人の肌の色に、丸みを帯びた中原の顔立ちである。
しかし同時に、長く伸びた[桜色]の髪と額の[ツノ]が、明らかにヒトとは違う種であろうことを物語っている。
傍で[少女]を見上げているのは、五、六才くらいの[女の子]だ。
こちらは、顔立ちこそは[少女]と極めて似ているものの、その肌の色は薄褐色、同じく伸びた髪の毛は紅色に彩られていた。
「(……東の島国にある[紅葉]みたいな色だ)」
聞こえないほどの声であったはずだが、それを合図に二人が笑みのまま男の方を向いた。
「どうやら、気が付いたみたいね……」
[少女]がそう言い終える前に男に駆け寄る[女の子]……
その瞬間、男に先の[恐怖]が蘇った。
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