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ニキビを直すため、私はインターネットでたくさん調べた。
顔を洗う回数、水洗顔、洗顔石鹸の種類、塗り薬。
自分に合うかどうか、一つずつ試すしかなかった。
ある日、ドラッグストアで新作のニキビ薬をみていると肩を叩かれた。
振り返ると、見覚えのある顔の日焼けした男の人が立っていた。小学校の卒業式以来、十年ぶりの再会だった。
久しぶり。その言葉が喉まで出かかった時、私は致命的な事に気付いた。
今日に限って薄化粧だった。無論、肌に負担をかけないため。
けれど、肌には赤みがかったニキビが幾つかある。
その事に気づいた瞬間、私は商品を棚に戻し駆け足で店の外へ出た。
どうやって家まで戻ったかは分からなかった。
心の中はただ、こんな顔を彼に見られたくなかったと言う事だけ。
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