魔女父さん

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私には高校三年生の息子、晴彦がいる。受験生で塾に通っている。 今日も19時から塾があるはずなのだが、彼は学校から帰宅するなりスマホのゲームに夢中だ。 「そろそろ行く時間じゃないのか」 晴彦はカバンを掴み、玄関へ行く。乱暴にドアを開けると無言で出て行った。 父親である私と晴彦の関係は良好だとは言えない。 晴彦が中学に入ってから 私一人で育ててきた。良い父親になれるよう努力したつもりだったが、やはり母親代わりにはなれないものなのか。 海外に転勤している妻とはもう4年も会っていない。妻の手料理も食べていない。まあ、彼女は料理が得意ではなかったが。 夕飯の支度をする。今夜は晴彦も好きな肉じゃがだ。
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