高見家の食卓

　朝五時、俺は父さんと食卓につく。今朝は父さんが炊いた玄米とじゃがいもの味噌汁、だし入り卵焼きとオリジナルの野菜ジュース。あとは夕飯の残りの筑前煮だ。

「いただきます」

　父さんに合わせて俺も小声でつぶやく。夏の朝日がダイニングに差し込む。食事中の会話はほとんどない。

　食べたらすぐに食器を洗い、それぞれ朝の日課に向かう。俺は10kmのランニング、父さんは体操場のメンテナンス。

　いつもと変わらない朝だ。俺は仏壇の前で手を合わせて家を出る。清涼な空気が肺を満たし、大きく息を吸い込んで走り出した。