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美肌改革運動初日。社会人の貴重な休日。
私はいの一番に手鏡から説教を受けた。
「おいこら自称乙女。これはなんだ」
傍らに置いた手鏡がちょっと怖い。怒ってる。
半ば物置と化していたドレッサーの前に久方ぶりに座り、私は首をすくめた。
「えっと、化粧水?」
「これは美容水だ! 俺はスキンケアに使っている道具一式持ってこいって言ったよな、なんでこれだけなんだ」
「えっと、使ってるのそれだけだから、です」
「真琴、お前なぁ。ああー……」
なんだか出来の悪い生徒を叱る先生の姿が脳裏にうかんだ。
彼が人だったら今絶対天を仰いでいる。
「あの、ごめんなさい?」
「疑問形で謝るな。……よし分かった、基礎からいこう。真琴」
「はい」
「まずは買い物に行こう。話はそれからだ」
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