【プロローグ】 コードネーム

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【プロローグ】 コードネーム

透き通る青空に白い雲。春の訪れを感じる暖かな日差しの下、行き交う人々の足取りは軽く表情も明るい。ただ、その中に子供の姿が見当たらなかった。 一昔前までは多くの子供が元気に駆け回っていたはずだ。とは言え、視界を広げればサッカーや野球などで遊ぶ子供は探せる。しかし、携帯ゲームやスマートフォンのアプリゲームに夢中な子供が増え、昔より見かけなくなったのも事実。 特にアプリゲームの種類は多種多様で、今や子供を含む全ての年齢層がインターネットで繋がる時代だと言える。 そんな数あるゲームの中で、小中学生を虜にしたのは『探偵バトル』というアプリゲーム。登録した年齢別で謎解きの難易度が設定され、誰でも手軽に楽しめる仕様となっていた。 また、を作って大きな謎に挑むイベントや、予め決めた名前以外に自由なコードネームを設定できるなど、子供の心を掴み大ヒットゲームとなっている。 そして、一部の小学校では新たな遊びが流行り始めた。それは『探偵バトル』をリアルで楽しもうという試み。 「あと一人が見つからないなあ」 「五人でいいじゃないか。リアルまで六人集める必要無いだろ」 春の陽気に包まれた小さな公園でも、男子小学生が『探偵バトル』の話をしている。 「ダメだよ。コードネームは決まったからね」 「コードネームが?」 ジャングルジムのてっぺんに登った二人の少年が言い争い、それを三人の少年が下から眺めているようだ。 「コードA・『アルファ』、コードB・『ブラボー』、コードC・『チャーリー』、コードD・『デルタ』、コードE・『エコー』、コードF・『フォックス』。カッコいいでしょ? アルファベットのAからFまでを使い、大好きな航空機の用語をヒントにして考えたんだ」 可愛らしい顔をした少年が熱く語ると、短髪のやんちゃな少年は嬉しそうに笑う。
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