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数年が経った。
僕は人里離れた田舎で暮らしている。
早紀と共に。
「あの時、僕は『君と共にありたい。この感情を隠し通せますように』。そう口にしたんだ」
だけど、駄目だった。
アレに願いを喰われてから、僕は自分の感情が制御できなくなってしまった。
彼女に思いを告げ、拒まれ、連れ去り、監禁した。
「今日はペルセウス座流星群が見ごろらしいね。でも、外には出ない方がいいな」
きっと皆が空を見上げる中、アレが地面を這って願いを喰っているだろうから。
もう二度と願いを喰われてたまるものか。
「今の願いは、君と共にありたい、たったそれだけだよ」
僕は早紀に手を伸ばす。温度のない剥製となった彼女に触れ、僕は恍惚とした。
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