30年に1度の大会

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 平均速度時速14万キロの規格外ジェットコースターが急上昇、急降下、急旋回を繰り広げていく中、フラインとシャイニンはVRの世界に迫りくる敵に銃口を向けていた。 「撃っても撃ってもキリがないな」  フラインは舌打ちをしながらそうこぼしつつも、迫り来る敵の戦闘機を一機ずつ確実に仕留めていっている。そして敵を仕留めるごとに100点、200点とスコアが積み重なっていく。 「弱気なこと言わないの!敵が多くて強い方がやりがいが出るでしょ?」  シャイニンはそう笑いながら右前方から押し寄せるにレーザーを放った。レーザーは飛来していた生物の心臓部に命中し、爆発音と共に火の粉が上がった。 「とりあえず今のところはパーフェクトだな」 「でもここからが本番よ。ほら!」  シャイニンが再び銃を構えたとき、ステージの風景が変わった。敵の数は今までの倍近くにまで増えてきている。 「障壁が高ければ高いほど、願いを叶えたときの喜びも大きいってか?」  フラインは笑いながらそう問いつつ、銃の引き金を絶え間なく引いていく。 「そうよ。多くの困難を乗り切って最も強い敵に打ち勝ってこそ、その喜びは大きいのよ」  超高速で風を切っていく感覚を味わいながら、シャイニンも束になって襲いかかってくる敵を自らのレーザー銃で一刀両断にしていた。  ここまで1匹たりとも撃ち漏らさず、機体の損傷も免れてきた2人。2人が乗り込んだ星は時速14万キロから徐々に徐々に減速を始め、そして停止した。   「いよいよだな」 「そうね」  2人は正面を見据える。そしてその先に紫色で口を大きく開けたバケモノが立ちはだかった。腕は筋骨隆々で、その爪は非常に鋭く鋼鉄をも引き裂きそうなほど。2つの瞳は妖しく光っており、すべてのものをひれ伏させてしまうほどの眼力を誇っている。そして口元にある牙は岩をも噛み砕きそうに見える。 「2人で力を合わせれば」 「きっとどんな困難も超えられる!」  フラインとシャイニンはそう声を合わせると、フラインはバケモノの額に、シャイニンはバケモノの心臓部に照準を合わせ、連射をはじめた。フラインの弾とシャイニンのレーザーは確実にバケモノの生命力を削っていく。 「う、うぐぇぇぇっ!!」  バケモノは断末魔をあげると、その場に大きな音を立てて倒れ込んだ。 「よしっ!」  フラインがそう声をあげると、シャイニンも 「やったねっ!」  と言いつつ笑顔を浮かべた。  暫定1位のスコアは986200ポイント。これを上回ればフラインとシャイニンの優勝は決まる。2人の目は大きく掲げられた電光掲示板の数字に釘付けになった。 「いよいよ、スコアの集計結果が出ました。フラインさんとシャイニンさんの点数は・・・!」  実況のアナウンスが銀河系に響き渡る。トクトクと脈を打つ音と鼓動を感じる2人。映し出されたスコアは……!  997100点。 「いょっしゃああぁぁぁ!」  フラインは雄叫びをあげた。
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