30年に1度の大会

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30年に1度の大会

 真っ黒な空間には無数のキラ星がまたたき、そして目の前には七色の道が広がっていた。七色の道にはときには上り坂が、ときには下り坂が。そしてあるときにはきついヘアピンカーブが施されており、駆け抜ける者を興奮の世界へと誘う。 「いよいよだな」  フラインは隣に乗る相棒・シャイニンに向かって振り向き、声をかけた。 「うん」  緊張した面持ちでシャイニンが頷く。 「では最後の選手、エントリーナンバー210721番のフラインさん、シャイニンさん。出発の時刻です。星に乗り込んでください」  係員に促され、2人は星へと乗り込んだ。安全ベルトを装着したところで別な係員が2人にVRゴーグルと銃を手渡す。ゴーグルのピントのズレを直して銃を構えたところで、 「絶対に優勝しようね!」  シャイニンは不安をかき消すかのように笑顔を作り、駆の方を向いた。 「そうだな。21万組の頂点に立つのは、俺たちだ」  フラインもそう頷いた。  フラインとシャイニンは星の精であり、30年に1度開かれる銀河系シューティングゲーム最強決定戦の出場選手だ。ルールは至って簡単。レインボーロードを走り抜ける星に乗り込んでVR上に現れる敵を倒し続け、最高得点を叩き出したコンビが優勝だ。今こそ2人がここまで練習してきた成果を発揮するとき。  努力はは無限、そして勝負は一瞬。目の前の赤い信号が青に変わった瞬間、その「一瞬」が訪れる。  ピッ、ピッ、ピッ、ポーーン!  スタート合図とともに信号が青に変わった。フラインは左側に向けて、そしてシャイニンは右側に向けて銃を構えた。
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