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「独りで死ぬのは怖かった……もう怖くないわ」
彼女の温かい右手が俺の頬に触れた瞬間、焼けるような熱を背中に感じた。
実際焼けていたのかもしれない。
俺は彼女の身体を包み込むように、覆いかぶさった。
初めてその記憶を夢に見たのは、5歳の時だったらしい。
当時はとにかく怯えて、母親にしがみついて泣いた。子供の断片的な訴えはよくわからなかったが、その尋常でない様子に両親は俺を一時期病院に診せたりもしたそうだ。だがそのうち落ち着いてきたようだったので、安心したという。
実のところ、落ち着いてきたというのとは違った。
慣れたのだ。これは過去の出来事で、今の自分を脅かすものではないとわかったのだ。
しかし、夢はこれだけではすまなかった。
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