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ステージの上に立つと足が震えた。
たくさんの視線が突き刺さる。
怖い怖い怖い……
逃げたくてしょうがなかった。
もしかしたら、あの掲示板に書き込んだ誰かがここにいるかもしれない。
でも……
『顔も声も名前も知らないヤツの言葉なんか気にするな。自信をもって目の前にいる人に届けろ』
リーダーが言った言葉を小さく呟いた。
深呼吸をして見上げた空にはたくさんの星が、ステージの灯りに負けないように輝いている。
私が声を届けたい相手は……
最初は家族、次に仕事の仲間……
そして
目の前にいる人たち
私はマイクの前に立つと息を吸い込む。
選んだのはリーダーに聞かせたのと同じ曲。
あの時と違うのは―――
ギターの音も私の声も迷いがない
自信をもっていられること
気が付けばお祭りの露店で買い物をしていた人も集まってきていていた。
制服の子から浴衣を着た子、おじいちゃんにおばあちゃんも。
私の事なんて知らないはずなのに。
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