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最初のころは仲良くしてくれていた子もいたけど、私が姫凛のお嬢様と知るとみんなどこか距離を置いた。
一人だって気にはしない。
休み時間に練習する時間が増えたと思えば平気。
音楽室を借りて、一人で練習した日もあったし。
そう思っていたはずなのに……
学校の裏掲示板では、私の悪口で盛り上がっているということを知ってしまった。
それから私の生活は変わった。
外に出れば頭痛と吐き気に見舞われ、立っていることすらキツイ日々。
学校どころか今まで通っていたレッスンにも通えなくなり、部屋から出ない日もある。
周りの目が怖い
きっと近所の人もみんな私が嫌いなのではないか
怖くて怖くて怖くて
―――掲示板のことを知らなければ、見なければ良かったのかな。
そう思う日もあった。
でも後に知ってもきっと同じだと思う。
引きこもるようになって数カ月たった梅雨明けのある日。
私の部屋にお兄ちゃんが来た。
「桃、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ。僕の部屋に来てくれる?」
そう言って、お兄ちゃんは手招きをした。
ここ1年くらいお兄ちゃんは何やら忙しそうだった気がする。
何をやっているのかは分からないけど、私はとりあえず「分かった」と、返事をしてお兄ちゃんの部屋へ向かった。
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