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翌日から私は『株式会社姫凛ヒーロー派遣サービス』でお手伝いをすることになった。
やることといってもほとんどがボランティア活動のようなもの。
急遽、人手が足りなくなったお店やイベントとかのお手伝いとか準備とか。
外でやることはおっさんとブルーがやって、家でできることをお兄ちゃんと私で手分けしてやる状態。
電話とかの対応なんて一度もしたことなかったけど、お兄ちゃんが作ってくれたマニュアルを見つつ言葉に気を付けて対応すればなんとか形にはなる。
はじめはどう対応すればいいのか困ったりもしたけど、依頼に来るのはほとんどがうちの系列店だったり地方のイベントだったり。
丁寧に対応すれば、悪い人なんていない。
作業に慣れてきたころにはセミが鳴き始めていた。
本来なら学校は夏休みに入っているんだろう。
私が高校へ行かなくなってから、あっという間に春は過ぎ去り夏を迎えていた。
仕事を終えてお兄ちゃんの部屋から自分の部屋に戻ると窓からキレイな星空が見えた。
外の景色を見るのも何日ぶりだろう。
去年の今頃は、夏の集中レッスンで毎日通っていたな。
お父さんがお迎えにいつも来てくれたから、あの時見ていたのは車の窓からの景色だけど。
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