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プロローグ
四間道は、名古屋駅から徒歩十五分程度といった都心にありながら、江戸・明治の面影を今なお残している。
趣のある街並みを歩けば、古民家を利用したレストランやカフェの中に、ひときわ落ち着いた佇まいを見せる建物を見つけた。
『栄枯盛衰―朽ちるに任せた先にあるロマン―』
杉の焼板で作られた木製格子が趣深い。壁伝えに玄関まで辿り着けば、白いパネルに大きくタイトルが書かれてある。炎天下にも関わらず、来た道から逆方向に長蛇の列が出来ていた。
「みんな、Oの世界に興味津々だね」
タイトルよりも二回りほど小さく書かれた『館山 央理写真展』の文字に、思わず頬が緩む。
ギャラリーに展示されているのものが、彼の全てではない。全てではないけれど、館山央理という人間を形成していた一部ではある。
それでも彼の作品がこうやって多くの人の目に触れる機会を得たのは、喜ばしいことだ。少しでも多くの人の心や記憶に残れば、その分、彼が生きていた証も増えていくことになる。
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