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「……は?」  自分が見ているものが信じられなくて、何度も瞬きを繰り返す。ぽかんとする蛍夏の耳に冷たい吐息が吹きかかる。 「(ケイ)、これで信じてくれた?」  ぶるりと肩を震わせた蛍夏は、勢いよく鏡へと顔を戻した。その途端、足元から一気に肌が粟立つのを感じた。 「はぁぁぁぁぁぁっ!?」  鏡に映るのは、彼氏のOと蛍夏の姿だ。Oはいつの間にか蛍夏の首に両腕を巻き付けている。しかも、普段は淡泊な態度をとる彼が、なぜか蛍夏の耳元に唇を寄せていた。  だが、触れている筈の背中や首、耳元にも、体温どころか何かに触れている感覚すらない。  蛍夏は右手で思いっきり頬を抓る。当たり前に痛い。少しだけ赤くなった頬を、鏡の向こうにいるOが撫でている。けれど、その感触はまったくない。
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