<24・姫騎士メロディと少年姫>

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<24・姫騎士メロディと少年姫>

「で、いい加減進展はあったんでしょうね?ね?」 「紀華紀華紀華!顔が本気で近いからっ!」  サッカー部の朝練は、先生の都合やらグランドの都合やらであったりなかったりする。  事件の翌日、念のため学校を休むことになっためろんが再び紀華に顔を合わせることになったのは、事件の翌々日の放課後になってからのことであった。  どうにも、戦闘中に敵にやられた傷の多くは、変身が解除されると劇的な速度で治っていくものらしい。実のところマリアンヌを倒して元の世界に戻ってきた時、血まみれだったものの傷そのものは多くがふさがっていたのだった。そもそもが致命傷から程遠い傷ばかりである。一日休めと言われたのもほとんど“念のため”というやつで、その気になれば翌日でも問題なく学校も部活もこなせるコンディションであっためろんだ。  まあ、別の意味で、雪李と顔を合わせづらいというのはあったのだけれども。 「あの紀華ちゃん?紀華ちゃんは私と雪李にくっついてほしいんでしょーか、くっついてほしくないんでしょーか?嫉妬で爆発しろとか言われてたわりに気にするよね?」  グラウンドの準備中、わっせわっせとゴールの移動をしながら言えば。紀華は難しい顔をして、そりゃあね、と告げた。 「嫉妬もろもろあるけど、その上でリア充末永く爆発しろと思ってるわよ?」 「とっても複雑な心境ということがよくわかりました……」 「まあ、うまくいって欲しいと思ってるのはマジ。でなきゃ、雪李君けしかけてめろんちゃん連れ出してーなんてお願いしないもん」 「それはその……感謝してるけど」  紀華がきっかけで、雪李が自分をデート(だと思っていいのだろうか)に誘ってくれたのは嬉しい気持ちでいっぱいであるし、十分感謝しているのである。もっと言えば、あの時彼女が自分達の傍にいて、一緒に異空間に攫われていなければ――最後の攻撃は成功しなかったかもしれないのだ。
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