Starry Tryst

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 年に一度の星祭り。  騒ぐ街を横目に、少女はひとり森へと向かう。星降る夜の中、片手にランタンを握り締め、方角を見失わないように。  急がなければ、時間がない。  深藍の森の奥深く。まるで時が止まったようなそこで、少女は顔を綻ばせた。 「一年ぶりだね。……会いたかった」  少女の視線の先には、大樹の根元に悠然と横たわる一匹の古竜の姿。  長い長い年月を経た鱗はところどころ剥がれ落ち、翼にはいくつか小さな穴が空いている。  少女が隣に寄り添うと、古竜は優しい声でグルルと鳴いた。  願わくは、どうか来年も……否。  どうかこの夜が、明けないように——。
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