刀剣話~古備前編~

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刀剣話~古備前編~

とうらぶには魅力的なキャラクターが多いが、その中であおじが特に好きでグッズやらを集めているのは、“古備前(こびぜん)派”の2人(2振)である。 鶯丸(うぐいすまる)大包平(おおかねひら)。この2人は夢女子的にも腐女子的にも大変美味しいキャラクターで、もう、なんか、ありがとうございます!! ここからはキャラクターのモデルとなった刀の話を。 “古備前派”というのは、何だろう……簡単にいうと、刀のメーカー名? 前に虎徹や福岡一文字の話をしたと思うが、 「お前の持ってる刀ってどこのメーカー?」 「俺の刀は虎徹」 「えー、超ブランド品じゃん! 俺の刀のメーカーは古備前。福岡一文字の刀も持ってるよ」 みたいな認識でいいと思う。違うと思うが。 刀作りにおける流派の一つ、みたいな。うん、これが最適だ。流派ね、流派。 古備前派は、平安時代中頃に備前国(現在の岡山県)で興った流派。その刀は贈答用として珍重されてきたお宝である。 前にどっかのページで触れた五箇伝のうちの一つである、備前伝の始まり。 大包平という刀。 とうらぶのゲーム内では、プライドが高いが、真面目で地味な仕事もちゃんとする好青年という風に擬人化されている。 実際の刀である大包平は、古備前派の包平さんという刀工が打った平安時代の刀。 あおじの刀剣友達である近所の理髪店のおっちゃんは「日本刀の中で一番価値があるのは包平の刀」とよく言っている。その度に、“それ前も聞いたな。遂にボケが……”とあおじは心の中で心配している。 さて、この包平さんが打った刀で最もよく出来た刀が大包平であり、“大”の字は“超すげぇサイコー”的な意味。 現存する日本刀中の最高傑作され、これまた有名な刀である童子切安綱(どうじぎりやすつな)と並び称され“日本刀の東西の両横綱”と例えられるどすこい。 今は東京国立博物館が所蔵している国宝であるが、元は岡山藩の池田家に伝来した刀である。 どうやら池田家はこの大包平が大好きだった様で、特に明治以降に面白い逸話が数多く残っている。明らかに嘘な話や、明らかに嘘だと思ったのに本当の話等々。 その中であおじが好きな逸話を年代順なんて糞食らえで超簡潔に紹介したい。 ①刀剣コレクターであった明治天皇が池田さんに「大包平見たいわ。ちょっと持ってきてよ」とお願いしたところ、池田さんは「無理。お前がこい」と断る ②岡山県知事が池田さん家に「大包平見ーせて♪」とやってくると、池田さんは「いいよ」と承諾するが……絶対に触らせない。断固として触らせない。本当に“見る”ことしか許可しない。「お前素人だから触らせたくない」ってのが理由 ③大包平が国宝指定を受ける時に、国宝指定委員会は文部省(東京)へ大包平を持ってこいと池田さんに告げる。ちなみにその時大包平は研ぎの為に東京のお屋敷にあったのだが……この流れならきっと分かると思う。池田さんは「無理。門外不出のお宝だから無理」と断る。……何言ってんだ、コイツ。という空気になったと思うが、そこへやってきたのが熊本藩主の家系の細川さんで「俺がどうにかしてやるぜ!」と池田さんの元へ。 細川さんは「……はっ! 門外不出なら、門から外に出さなかったらいいんじゃね?! 俺が塀の向こうで待ってるからさ、塀越しに渡してくれよ!」と提案。あまりに屁理屈過ぎるが、池田さん「OK!」と承諾。承諾すんかい ④GHQ最高司令官のマッカーサーが大包平に一目惚れして譲ってくれる様に池田さんに頼んだところ、池田さんは「ほんと無理。あ、でも、お前ん所の自由の女神と交換ならいいよ」と断る。……この話は明らかな創作であるが、戦後GHQは多くの日本刀を“武器”として接収する。しかし池田さんは「大包平以外は差し出してもいいけど、大包平だけはマジ無理。ぜってーいや」ということで作戦会議を開く。その結果、「そうだ、大包平を疎開させよう。ついでに他の県にも声かけてあげようぜ!」となり大包平loveの為にやったことが九州・中国地方の日本刀を守る結果となっている。 この大包平、さっきも書いたが東博に所蔵されており、度々展示もされている。……いや遠いわっ!! 岡山県民であるあおじにとって東京は遠いわ!! 気軽に行けないよ! 京博の展示で大包平の写しは見たことあるけど、折角だから本物も見たい。是非死ぬまでには一度でもお目にかかりたいものである。……たまには帰郷してこい。 続いて鶯丸という刀。 とうらぶのゲーム内では、マイペースでミステリアス。気品がある容姿で、お茶を飲むことと大包平を観察するのが趣味なあおじの推し。あおじはおじ様キャラだけでなく美人なキャラにも弱いのだ。 実際の刀である鶯丸は“御物 (ぎょうぶつ)”として宮内庁に所蔵されている。 御物とは皇室の所蔵品のことである(昔は将軍家に伝わった家宝のことを指していたらしい)。 皇室には超有名な“草薙の剣”の他にも多くの刀が伝えられてきた。またさっきもでてきた刀剣コレクターの明治天皇が収集したものや、献上されたものを含めると御物となった刀は相当数にのぼる。 まぁでも戦後に御物は国有財産扱いになったので、近代以降に収集などされた刀は御物から外れて宮内庁が管理している。 鶯丸は古備前派を代表する刀工である友成(ともなり)さんが打った平安時代の刀。 鶯丸、とはなんとも可愛らしい名前であるが、どういう理由でこう呼ばれているかは不明。あおじが一番苦手な室町時代には“鶯太刀(うぐいすのたち)”と呼ばれていた。まぁええやん、由来なんて。可愛いんだからさ。推しフィルターがヤバイな。 大元は、室町幕府の第6代将軍である足利義教(あしかがよしのり)が所有していたが、合戦で活躍をした小笠原政康(おがさわらまさやす)に褒賞として与えた。江戸時代にはまだ小笠原家に伝来していたが、その後幾人かの手に渡り明治時代には軍人で政治家であった田中光顕(たなかみつあき)が入手して明治天皇に献上している。 ……光顕っ!! おまっ、天皇に献上したら、献上したら……くっ、展示なぞ滅多にされんやろがーいっ! 光顕っ! しかしナイス! 貴方が天皇家に献上してくれたおかげで大事に管理されているんだからな! ありがとう! 御物の刀は皇室の儀式に使用されるので公開される機会は滅多にない。鶯丸が前回展示されたのは1997年なので、今後展示の機会はあるかもしれない。ないかもしれない。 今上天皇が御即位される時にワンチャンあるのでは?? とか思っていましたがそれはなかったようなのだわ。 是非死ぬまでには一度でもお目にかかりたいものである……って、さっきも言ったな。鶯丸は望み薄いなぁ~。いや、雑誌の付録で鶯丸の実物大刀剣ポスター持っているんだがね? それにしても、平安時代の刀が現代まで残っているのは凄くないか?? 当時の人々は大切に、愛情を込めて刀を管理していたんだなぁということがよく分かる。ちょっと池田さんの愛情は重い気がするが。そういうの、嫌いじゃないぜ。 日本刀は日本の心。漫画やアニメで日本刀を使うキャラクターとかよく見かけるし、書き手の人なら日本刀使いのキャラクターを自分の作品に1人は出したいと思うのではなかろうか。そういう形で日本刀への愛情は現代を生きる我々にも受け継がれているのである。 おわり!
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