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桜の花びらが舞う渡り廊下。永田くんと栗原さんが歩いてきた。
永田くんのとなりを歩く栗原さんは、異世界戦士キラメシアのキラちゃんみたいにかわいらしかった。永田くんも、やさしいまなざしで栗原さんをみつめている。
ふっと、永田くんがわたしのほうを向いたときだった。
わたしと目があったしゅんかん、永田くんのにせものの宝石がぱりんと砕け散った。
おびえる黒曜石。わたしの青春のすべて。この双眸に、それはとじこめられている。
来週の火曜日に、またあのコンビニへ行ってみよう。今週中にはきっと、このふたりは終わってしまうだろうから。
永田くんがいつまでもわたしに服従してくれますように。できれば大人になっても。
わたしはくちびるをたゆませる。
ふるり。黒曜石が悦びに震えた。
(了)
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