1. 夜中のネタ合わせ

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1. 夜中のネタ合わせ

青野(あおの)、合わせようぜ〜。」  玄関のドアから、赤城(あかぎ)の声が聞こえる。  時計を見ると朝の1時…。  ああ、いやだ。マジでなんだこいつ。  断りたいが、断れない。  コンテストまで1週間、できるだけ練習をしなくちゃいけない。 「いいよ〜。」とドアに向かって返事をし、部屋の鍵を開ける。  ドアが開き、赤城が中を覗き込む。 「うわっ。また汚くなってんじゃん。俺、ここには入れない。」 「じゃあ、赤城の部屋に行く?」 「悪いけど、この部屋にいたお前を入れたくない。コインランドリー行こうぜ。」 「迷惑じゃないかな?」 「この時間だと誰もいないよ。俺、洗濯物持ってくる。」  僕も洗濯する洋服をエコバックに入れ、5分後にコインランドリーまでトボトボ歩く。 「洗濯機、欲しいよね。」 「ああ。青野の部屋の前に謎のスペースあるじゃん。あそこなら洗濯機置けるんじゃない?」 「どうだろう。洗濯機は置けないって契約だったから。」 「今度、不動産に問い合わせてみる。」  赤城はいつも強気で頼りになる。 「ちょうどいい。誰もいない。」  真夜中1時過ぎのコインランドリーはとても静かだ。  24時間営業だが、絡まれたら怖いので夜10時以降は1人ではこない。 「じゃあ、はじめようぜ。」  赤城は洗濯物を入れながら、僕にネタの準備を促す。
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