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星降る夜に3
美しい彗星が描かれた洞窟壁画の前に、煌びやかな衣服を纏った骸骨が座っていた。人々はその骸骨の前に色とりどりの花を並べ、そっと頭を下げていく。
水を求めて北からやってきた人々は、満々と水を湛えた星の湖にたどり着き、洞窟壁画とその前に倒れていた骸骨をみつけた。
人々は美しい彗星の壁画に見惚れ、その前にあった遺骸を神として崇めるようになったのだ。放浪する民にとって、彗星は時を知らせてくるものである。きっとこの遺骸は彗星と対話するために、この洞窟に捧げられた供物の少女だったのだろう。
人々はそう考え、コメットの遺骸を大切に祀っている。
そして今宵は、彗星が再び空に輝く年だ。人々は空に輝く彗星を仰ぎながら、彗星の一部が割れるのを見た。集落から歓声があがり、人々は踊りをやめてこちらへと向かってくる彗星の破片を見つめる。
もちろん、これから何が起こるのか彼らは知らない。
彼らにとって壁画に書かれた文字は、彗星を賛美する言葉に過ぎないのだから。
(了)
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