カフェでの待ち合わせ

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「遅くなっちゃってすみません! 来る途中に交通事故に遭っちゃって……」  そう告げる斎藤氏に、怪我をした様子は見られない。 「そうなの? それにしては随分元気そうだけど」  少し嫌味交じりに訊いてみると、斎藤氏は気まずそうに頭をかいた。 「僕じゃなくて、信号待ちをしていたら、僕の前にいた人が事故に遭ったんです。僕は救急車を呼んだりしただけで……。でも、その人、脚に怪我してたので、救急車が来るまで添え木したりで、そういうことしてたら、遅刻してしまいました。本当にすみません」  その話が本当かどうかなんて、わかるはずもない。でも、それを証明させたりするなんてめんどくさくて、私は信じることにした。 「良かった、斎藤さんが巻き込まれたんじゃなくて」
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