カフェでの待ち合わせ

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 裏返されたひらがなの「へ」の形が、視線の先にあるアンティーク調の時計に貼り付いていた。スマホを見れば、ちょうど時間が変わったところだった。14時35分。待ち合わせの時間はとっくに過ぎている。溜め息をつくと、ピコンと通知音が鳴って、画面に通知が表示された。 斎藤『すみません! 遅れました! 今向かっています!』  さて……。来たらどう問い詰めてやろうか。35分も遅れた……いや、まだ到着していないのだから、35分「以上」も遅れたということになる。この私を(というほどの人間でもないが、私は)こんなに待たせたのだから、ケーキの一つでもおごらせてやるべきだろうか。
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