にほめ。

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にほめ。

―――あれ、お前、何してんの?うちのゼミの子だよな? 大学は、周辺の住宅地から小高い丘の上にあった。12時近くなった今、学内は暗すぎず、明るすぎず、広場からは空が奇麗に見える。その広場で膝を抱えて座る私に、声をかける人影があった。 「こんばんは…」 「こんばんはじゃねえよ、みんなまだ飲んでるだろ。酔い覚まし?」 「ただの休憩です…」 影の主は、たしか阿部さん。 私の学科は、2年から4年まで同じゼミに所属する。私がこの春入ったゼミは、夏に全学年参加の親睦会を兼ねた合宿があり、今日はまさにそれ。OBの参加者も多く、阿部さんもその一人だった。 「休憩って(笑)。お前、今日すごい緊張してたろ」 タバコを吸いに来たのか、手には小さな四角い赤い箱とライターを持ったまま、こちらに歩いてくる。 「あ、まあ、そんな感じです…」 な、なんで隣に来るんだ、何を話せばいいんだ。笑顔が引きつる。
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