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ダイアナママとは小学校のPTAで知り合い五年の付き合いになる。正雄は愛の部屋で勉強を教えていた。
「もう少しで終わるらしいから待ってて」
リビングのテーブルにはダイアナママ特性の料理が並んでいる。チキンの丸焼きからハーブの匂いが堪らない。
「山ちゃんどうすんの、今のお給料じゃ大変でしょ」
「そう言っても俺家電売るの下手だし好きじゃないし」
「じゃなんで営業なんかやってんの、馬鹿じゃない」
ダイアナママはおかまバー『オンリー』を経営している。妻とは愛が生まれてすぐに離婚しずっとひとりで育ててきた。山田と同じような境遇である。
「花に行って神原部長に土下座したらどう」
「やだよ、あいつ俺よりひとつ年下だよ、年上ならそれもありだけどね」
「年下も年上もないでしょ、どうせヨイショの人生なんだから」
山田親子は久々の御馳走に夢中になった。余った総菜をタッパに詰めて持ち帰った。
翌日神原部長はコンビを組んだばかりの合いの手師、室井を連れて大阪に一泊で営業に行った。そして南のクラブで唖然としたのだ。
チャッチャッチャ チャッチャチャッチャ
星の降る夜は♪ あなたと二人で♪
(濡れて行きまひょ御堂筋) (わてら二人でど突いたる)
ああんああん踊ろうよ♪ 流れるボサノバ♪
(河内音頭で盆踊り) (浪花節だよ人生は)
ふれ合う指先♪ ああん恋の夜~♪
(ごっつい指してはりまっせ)(よっしゃよっしゃよっしゃよっしゃおいでやっしゃ)
悪戯夜風が ♪ 頬にキスしても♪
(震えてまんがな恐ないで) (ベロッといきまひょよろしおま)
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