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ふ~たりは~ 何も言わないで
(道頓堀下って宗衛門町) (喋くり止めたら死んでまうで)
瞳見つめ合う ああ~の街角
(ルーキー新一イヤ~ンバカ~ン)(角角角角角鳥居)
チャッチャッチャ チャッチャチャッチャ
「凄い」
神原部長はライバル会社の合いの手をまざまざと見せつけられた。そしてお供の室井を見た。『こいつじゃ無理だ』山田しかいない。山田なら何とかしてくれる。この営業は社を挙げてのプロジェクトである。負けるわけにはいかにない。神原はボーイを呼んだ。
「あの合いの手師は素晴らしいね」
「へえ、『難波の哲』言うてあれで営業されとる方です」
「神業だね、どこかの会社に所属されているのかな、今度是非お願いしたいもんだ」
神原はボーイにチップを渡した。
「残念だんなー、あの方は二年前にフリーになりおって企業から予約で埋まっとるみたいでんねん。それに申し訳おまへんが関東嫌いが徹底しとります」
神原は視察から戻った。
「おはようございます」
山田は目を合わさず小声で挨拶してドアを閉めようとした。
「準備は出来ているのかね、山田合いの手師」
声が掛かった。供の室井じゃ務まらない大きな仕事だろう。
「準備準備とおっしゃいますが 孫の手猫の手合いの手ヨッシャホリャ波乗りただ乗りこの乗り聞いて 星街ウオンチュ~ アイウオンチュ~」
鍛え上げた山田の匠に神原はデスクに拳を落とした。
「大阪だ、大阪夏の陣だ」
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