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星街ウオンチュー♪『大阪夏の陣』
星の降る夜は あなたと二人で
(エッサソレソレ) (ヨイショこりゃそりゃさのドッコイショ)
ああんああん踊ろうよ
(ジルバ、サンバにチャチャチャでほい)
「お父さん時間です」
正雄は通学の時間7時に声を掛けた。
「ありがとう、行ってらっしゃい」
山田豊は家電営業マンになって24年になる。当年取って54歳、8月15日が誕生日であと十日となった。営業だが成績はまるっきしで基本給暮らしである。しかし特技があり夜の営業を盛り上げる。『星降る街角』の合の手師で名を馳せている。飲酒の絡む営業の場で客を楽しませることは成果に通ずる。一月前までは神原課長のお供として夜の営業専門で現金収入を上げていた。しかし大事な場で酒酔いと睡魔で立場を忘れ、課長の裏趣味であるSMを組み込んだ合いの手をやってしまい、その任を解かれてしまった。
「おはようございます」
神原課長は部長になり部屋も個室になった。出勤の挨拶は社員の義務で必ず行う。神原部長の応答はない。デスクに戻ると社員達は営業に出て行く。
「行ってらっしゃい、ファイト」
それが仕事みたいなもんである。基本給だけでは生活も苦しい。
「失礼します」
5時に退勤の挨拶をして会社を後にする。今日は長男正雄が勉強を教えている女の子の家に親子で招待されている。
「いらっしゃい、正雄も来てるわよ」
ダイアナママがムームーで出迎えた。
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