第一章 決別 Part1

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第一章 決別 Part1

幸一「やはりその程度だったか、じゃあ友梨ってこのPAは要らなくなった訳だ」 龍「ごめん」 幸一「謝るなって龍は何も悪くないんだからさ。只気掛かりなのがお前の幼馴染の友梨って子だ。もしかするとその善岡って奴に弱みを握られて脅されているのかもな。明日まで待てなんて明らかに時間稼ぎじゃないか?田中兄妹っていうのは口実だろうから、本当の狙いは龍に助けて貰いたかったんじゃないか?」 龍「...」 幸一「聞いているか?その兄妹とちびっ子と幼馴染の武具、食料はあるのか?」 龍「...無い」 幸一「感情的になるなってあれ程...まぁいい、お前の外交に口出しはしないがもっと後の事を考えて欲しいぜ」 龍「...」 幸一「おまえ一人だったら生き残るのは容易いかもしれないが、おまえ以外の連中は素人って分かっているか?なぁ?」 龍「...」 幸一「美緒達には俺から言っておく。精々頑張ってくれよ、じゃあな。」 ピッ 龍「幸一兄...俺はどうしたらいいのさ」 スマホを片手で持って幸一兄の言っていたことと俺のいまの状況を考えた。 戦闘や戦闘状況は上手いと思っているだから生き残ってきた。だが俺にも出来ない事だってある。それは「交渉術」 俺は交渉が下手でいつも武力による攻撃手段しかなかった。今回も友梨をあのコミュニティから救出するために最後の攻撃手段をしようとしている。相手は反政府ゲリラでも海賊でも無い そんな相手なら容易いだろう。 でも友梨は俺の正体を知らない。いや知らない方が良いんだ。 頭の中で考えている中でメモ帳には今の状況を書いていく。 今、コミュニティの向かい側の少し大きめの住居に俺と亜由、美穂、乃亜がいるだけ 食料品は俺と友梨でスカベンジングしてきた時の物ではあるがまだまだ使えるの物ばかり 亜由達の武具などはなくボロボロの服と使い込まれた靴を履いている程度。 一応住居内を隈なく探しても感染者や胞子が舞っていることも無いのでひと段落している状況 っと。 龍「あ、そうだ」 ふと閃いた。彼女達の身体検査をしなければならなかったのだ。 龍「亜由、いる?」 亜由「何?お兄ちゃん」 龍「今から身体検査をするんだけど良い?」 亜由「いいけど、私達余り外に出たことが無いから感染していないよ?」 龍「感染の件もそうだけど何が得意で何が不得意か好き嫌いはあるかとか聞くだけさ」 美穂や乃亜ちゃんは心良く了承したが亜由だけ拒んでいた。 亜由「お兄ちゃん、私の身体を見て笑わない?」 真剣な表情で亜由が話しかけてきた。 龍「笑う?何を言っているんだ?まぁ良いけど他の二人にも言って置いてくれるかい?」 亜由「うん、分かった。」 亜由はそう言って二人を探しに行った。 俺は3人が戻ってくるまで戸締りの確認と窓際のカーテンを閉め切った。向かい側にこちらの確認出来ない様にするための策でもあるからだ。 亜由「お兄ちゃん〜二人を連れてきたよ〜」 龍「じゃあ、最初は乃亜ちゃんからで良いかい?」 乃亜「うん、脱ぐの?」 龍「いや、脱がなくて良いから」 乃亜「そうなんだ...」 龍「露骨に嫌な顔しないの、幾つか質問するから」 乃亜「うん」 龍「食べ物系に何かアレルギー反応とかあるかい?」 乃亜「うーん、無い」 龍「そう、次にお腹を壊しやすい体質かな?」 乃亜「うーん、少し」 龍「少しか...少しねぇ〜」 乃亜「...」 龍「車酔いとかするかな?」 乃亜「苦手」 龍「苦手ということは即酔い?」 乃亜は頷いた 龍「そうか...分かった」 乃亜がモジモジし始めたので 龍「トイレに行ってきたな」 俺が言って直ぐに彼女はトイレに走って行った。 乃亜「お兄ちゃん、トイレ流せない」 龍「仕方ないさ、この近辺がまだクリアされていないんだから。今晩だけだから我慢してくれ。」 乃亜「分かった。」 乃亜が椅子に座る 龍「次が最後の質問だよ、何か格闘技やスポーツ系の習い事をしていた経験とかあるかな?」 乃亜「えーっと、空手とテニスしてたよ。」 龍「へぇー、凄いね。」 乃亜「終わり?」 龍「あ、大事な質問があった」 乃亜「最後じゃ無いじゃーん」 龍「悪い悪い、おねしょとか夜泣きなどしますか?」 乃亜「お兄ちゃん、私は13歳だよ。おねしょの歳じゃ無いもん」 龍「分かった分かった。でも大事だから。」 乃亜「...」 龍「以上で質問は終わりです。ありがとうね、乃亜」 乃亜「うん!美穂ちゃんを呼んでくるね!」 龍「ああ」 2階からドタドタと走ってくる音が聞こえる 乃亜「お兄ちゃん、美穂ちゃん連れてきたよ」 龍「ありがとう、乃亜、亜由に布団かベッドか聞いといてくれる?それと乃亜の武器持ってきてくれるかい?」 乃亜「うん、分かった。」 俺は美穂に乃亜と同じ質問をして行く 乃亜が武器を持ってきた。 乃亜「お兄ちゃん、はい。後ね亜由ちゃんはベッドだって私もベッドがいい。」 美穂「私も私も!」 龍「分かった分かった3人はベッドね」 美穂「あれ?お兄ちゃんは?寝ないの?」 龍「俺は起きているよ。お前たちの武器を使い易い様に改造しないといけないしさ」 そこに亜由が合流 亜由「お兄ちゃんと一緒に寝たいのにー」 龍「亜由...誰かが見張ってないとダメだろ?」 美穂「でも...」 龍「大丈夫、お前たちは眠たくなったら寝れば良いから安心して良いよ」 美穂と亜由の質問が終わり次は彼女達の夕食作りである。と言ってもレトルト食品で食い繋ぐ事しか出来ないが彼女達は凄く喜んでくれた。 ■奥方 乃亜(女性/13歳) 亜由といつも連んでいるムードーメイカー的人物、弱点車酔い、バス酔い、電車酔い 乗り物系が基本的にダメな娘 ■岸本田 美穂(女性/12歳) 亜由といつも連んでいる度胸が座っている人物 夜は龍か幸一と寝ないと夜泣きやおねしょすることもある。後に彼女の口から聞く事になるが、パンデミック発生から間も無く両親が美穂の前で変貌し美穂は押し入れに隠れて難を逃れたがその時の恐怖で失禁癖がついてしまったらしい。 夢でうなされると大体夜泣きとおねしょがセットにしてしまう。
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